Diary of a rail fan in Kansai,Japan(Ver.2)

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最近の夫婦から見る都市の問題

※最初に断っておきますが、以下の内容は都市計画者やショッピングモールを運営する企業に対しての問題提起であり、モールを利用する消費者を敵視するものではない事に留意して下さい。


女子はなぜ、「龍馬」と結婚したくないのか?(日経ビジネスオンラインより)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20100927/216395/?P=1

リンク先の2ページ目に載っていた表を引用すると

年代 トレンディーなデートスポット
80年代半ば〜後半 ・レジャー
・ディスコ ・カフェバー
・クルーズパーティー
プリンスホテル系スキー場
ウォーターフロント ・プールバー
90年代前半〜半ば カラオケボックス ・居酒屋
シブヤ系 ・スノーボ−ド
・アウトレットモール
90年代半ば〜後半 ・クラブ ・外資系コーヒーショップ
セレクトショップ ・裏原宿
00年代前半〜半ば ・カフェ ・マンガ喫茶(複合カフェ)
・お台場 ・六本木ヒルズ
・ダーツバー
ロハススローフード
00年代半ば〜後半 ・おうち(自宅) ・駅ナカ、駅チカ
・ゴルフバー ・自転車、エコ


これは驚いた。
ウチの親は大学の帰りによくスナックに寄り道していたそうで、「派手やなぁ」と思っていましたが、カップルの世界でも遊び場が昔と比べてかなり貧相になっているみたいですね。
貧相なのは構わないですが、問題なのがリンク先の記事で例として出されている「デートの定番は、地元のイオン(ショッピングセンター)」。


これですよ、これ。
私はモータリゼーション化の視点からイオンのような郊外型巨大ショッピングモールを批判してきましたが、今回は別の視点で見ていきたいと思います。
上記の80年代半ば〜後半に挙がっている行き先の中で「クルーズパーティー、プリンスホテル系スキー場、ウォーターフロント」というのがありますよね。これらは全て「そこにあるものだけが目的ではなく、そこから見える固有の景色を楽しむのも目的」でした。地域によってこれらの場所は全く違った景色があるでしょうし。
しかし、今はどうでしょう。「駅ナカ」や「ショッピングモール」というのはどこへ行っても同じような品揃え、店の配置になっており、「景色を楽しむ」とはほど遠い状況です。
モータリゼーション化の観点からすると「郊外型ショッピングセンターが駄目でも、駅前のショッピングセンターなら良い」という事になりますが、それに違和感を覚える理由がこれで分かりました。
それはモールに接続する交通体系が問題なのではなくモールそのものの普及が問題なのです。最初は私も「イオンモール橿原アルル」が出来た時は高い天井にブランド店が軒を連ねる姿が新鮮で面白く思えましたが、全国に似たようなものが相次いで開業するにつれて、マンネリ化を感じるようになったのです。


確かにショッピングモールというのは何でも揃う場所で、モールそのものへのアクセスを抜きにすればかなり合理化された街を形成しています。
しかし、合理化されればされるほど画一化が進み、地域特有の面白さがなくなっていきます。まだ、モール内に地元企業が数多く出店していればそれはそれで地域ごとに色が出てきて面白いかもしれません。ですが、ショッピングモール内に出店している企業を見てみてください。恐らく大半が首都圏のチェーン店(本社が首都圏でなくとも全国展開しているチェーン店)、もしくは海外ブランド企業でしょう。
しかも、そのようなチェーン店で雇われているのは大半が非正規雇用者で、収益の大半は首都圏の海外の本社に吸い取られていく。
一方で、駅前で発達してきた地元企業はモールに客を奪われて次々と衰退。地元企業の仕事がなくなると、地元のショッピングモールの非正規雇用しか口がない。そして、そこに勤めたところで遠くに行く経済的余裕が無く、その非正規雇用者が遊んだり買い物をするのが近場のモール。
という悪循環が発生しています。
駅ナカもこれに近い傾向がありますが、
・公共交通機関を機能的に利用している
・既存の駅を使うので、店の配置はモールほど画一性が生まれない
・地方の主要駅の駅ナカの場合、遠距離客のお土産需要があり、それなりに地元企業が参入する余地がある。
などショッピングモールより問題は少ないです。


日本全国の貧相な夫婦が、同じようなエコカーに乗って、同じようなショッピングモールへ行き、同じように貰った子供手当てで買い物をし、同じように遊んでいくのを想像するとちょっと悲しくなりますね。遊びに個性が無いと言いますか、昔、教科書で見た共産国のイメージです。みんな同じ服装で、同じバスやクルマで、同じ店が延々と並んでいるという・・・。


私はショッピングモールを全否定するつもりはありません。鉄道が走っておらず小さな街も無く、家屋が散在する地域にショッピングモールを造るのには賛成です。元々「街」が無ければ、モール自体が街の歴史を作っていくでしょうから。
しかし、三大都市圏の周辺ないし地方の大都市にショッピングモールを造るのは街の特色を破壊しかねません。造るにしても元々ある街を総括するような施設(例えば、元々あった駅前商店街の店を丸ごとモール内に入れた施設など)に出来ないものでしょうか。